もう「勉強しなさい」と言ってしまった人へ。勉強嫌いは、戻せます
一度「勉強嫌い」にさせてしまっても、戻せます。ただし、相当に難しいです。
効かない方法が2つあります。「とりあえず謝る」と「黙って環境だけ変える」。
正解は話し合いで、順番はこうです。
① まず聞く(今までどう思ってきたか/何になりたいか)→ ② 本当に勉強が必要か本気で考える →
③ なりたいものと勉強をつなぐ → ④ 嫌いになった原因を親が引き受ける →
⑤ 「勉強は本当は楽しい」を子どもに分かる形で伝える → ⑥ 親自身の姿を見せる → ⑦ 最後にまた「どう思う?」と聞く
そして、この話し合いができない時点で、勉強以前に家族の問題です。そこは親が先に頑張るところです。
前回、「強制すると効果がゼロになる」という話を書きました。
そこまで読んで、こう思った方が、たぶん一番多いはずです。
「もう、めちゃくちゃ言ってきたんですけど」
分かります。そういう親御さんの相談を、何回も受けてきました。
なので今日は、すでに言ってしまった人が、どこから立て直すかという話を書きます。
学習塾をやっていて、コーチングもやっている、3児の父です。パパ塾長といいます。
先に、効かない方法を2つ
相談を受けるとき、まず出てくるのがこの2つです。どちらも効きません。
①「とりあえず謝る」
「今まで強く言ってごめんね」——これ自体は悪くありません。
でも、意味も分からずに謝っても、しょうがないんです。
子どもからすれば、「急に何?」で終わります。謝罪は、手順ではありません。
②「黙って、環境だけ変える」
前回、環境の話を書きました。テレビを消す、机を片づける、親がスマホをやめる。
だから「何も言わずに環境だけ整えれば、そのうち子どもが変わるのでは」——
マジで無理です。
環境は大事ですが、環境は”やる気がある子”を支えるものであって、“もう嫌いになった子”を戻す力はありません。
じゃあ何をするか ― 答えは「話し合い」です
ただし、順番があります。 そして、その順番を間違えると、また同じことになります。
一番大事なのは、これです。
親が話す前に、まず「理解する」
① まず、聞く
親が伝えたいことは、いったん全部、後回しにします。
先に知らないといけないのは、この3つです。
- 今まで「勉強しなさい」と言われて、どう思ってきたのか
- 何がやりたいのか
- 将来、どうなりたいのか
これを分かっていない状態で、子どもをどこにも連れていけません。
当たり前の話です。相手がどこに行きたいか知らないのに、道案内はできない。
ここを飛ばして「これからは一緒にがんばろう」と言うと、また強制になります。
② 本当に勉強が必要なのか、いったん本気で考える
ここは、親にとって一番きついところかもしれません。
子どもがやりたいこと、なりたいものを聞いたうえで、本気でこう考えてみてください。
そのために、本当に勉強が必要なのか?
もしかしたら、勉強ではなく、違うスキルを伸ばしてあげたほうがいいのではないか?
この問いを、親が本気で持てるかどうかで、話し合いの質が変わります。
「結論は決まってるけど、いちおう聞くね」——子どもはそれを見抜きます。見抜かれた時点で、話し合いは終わります。
ただし、現実的な話も書いておきます。
年齢が低いほど、答えは「やっぱり勉強」になります。
未就学・低学年のうちは、土台を作る時期なので、基本的には勉強です。
高学年になってくると、「それは本当に勉強なのか?」を問う余地が出てきます。 そこは年齢で変わります。
③ 「なりたいもの」と勉強を、もう一度つなぐ
考えたうえで、やっぱり勉強だ、となったら——そこを、子どもの言葉に接続します。
ここで、言い方がすごく大事です。
「じゃあ、これぐらいは勉強しないとダメだよね」
「じゃあ、こうやって勉強がんばると、できるようになるよね」
言っている中身は同じです。でも、上は「足りない」の話、下は「できるようになる」の話です。
子どもに向かって使う言葉は、全部こっち側にしてください。
| 足りない側の言い方 | できるようになる側の言い方 |
|---|---|
| 「これぐらいはやらないとダメ」 | 「こうやってがんばると、できるようになるよ」 |
| 「勉強しないと〇〇になれないよ」 | 「勉強がんばったら、〇〇になれるよ」 |
| 「まだここができてない」 | 「ここまでできるようになったね」 |
前回・前々回に書いた 「共通言語」 を、ここでもう一度、作り直しているわけです。
そして共通言語は、「やらないとまずい」では作れません。 作れるのは、「やったらこうなる」のほうだけです。
④ 嫌いになった原因を、親が引き受ける
ここが、この記事で一番書きたいところです。
子どもが勉強を嫌いになっているなら、その原因を、親がはっきり引き受けてください。
「今それが嫌いなのは、パパとママが強制しちゃったから、嫌なだけなんだよ」
「あなたが怠けてるから」ではなく、「こっちのやり方が悪かった」と言う。
これが、①の「謝る」との決定的な違いです。
ただ謝るのではなく、”何が起きていたのか”を説明する。 だから子どもに届きます。
⑤ 「勉強って、本当は楽しいことなんだよ」を、子どもに分かる形で言う
ここで、つい言ってしまいがちなのが、これです。
「大人になってから勉強するのって、実はすごく楽しいんだよ」
たぶん、伝わりません。 子どもにとって、大人になってからの話は遠すぎます。
その子が今やっていることの中から探してください。
たとえば、ゲームが好きな子なら。
「ゲームの攻略の仕方、YouTubeで調べたりするでしょ。あれも勉強なんだよ」
ほかに好きなことがあるなら、それでも同じです。
「知りたいことがあって、それを調べたでしょ。あれも勉強」
すでにやっているんです。 楽しくて、しかも誰にも言われずに。
勉強は、机の上だけのものじゃない。
知りたいことを調べるのは、全部、勉強。
これが伝えたいことです。
「勉強=つまらないもの/やらされるもの」という枠が外れると、机に向かうことへの抵抗も、かなり小さくなります。
⑥ 親自身の姿を見せる
ここで、多くの親が詰まります。
「勉強って楽しいよ」と言いたいけど、自分にそんな経験がない。
私はそれでいいと思っています。別の言い方があります。
「仕事も勉強なんだよね」
「パパも今、こういうの頑張っててね」
過去に勉強が楽しかった経験がなくてもいい。 今、何かを学んでいる姿があれば、それで十分です。
言葉より、これが一番効きます。
⑦ そして最後に、また子どもに聞く
締めは、こうです。
「パパはこう思ってて、ママはこう思ってて」
「こういうふうに幸せになってほしいから、勉強もやってったほうが、将来すごくいいと思うんだよね。
どう思う?」
「どう思う?」で終わります。
気づいた方がいるかもしれません。前回の記事の「今日は何時にやる?」と、まったく同じ構造です。
このブログで書いていることは、結局ひとつです。
決めるのは、子ども。
立て直すときも、それは変わりません。
ここまで読んで「無理そう」と思った方へ
正直に書きます。その感覚は、たぶん正しいです。
というのも、ここまで書いてきたことは、勉強の話ではないからです。
謝るとか、こういう話し合いができない時点で、
「何を勉強するか」以前に、もう家族の問題です。人間の問題です。
そこができていなかったら、正直、何をやっても無理です。
厳しい言い方ですが、これが本当のところだと思っています。
そして、その場合にやることは、はっきりしています。
そこは、まず親が頑張るところです。
親が勉強する。コミュニケーションを取り続ける。子どもに何かをさせる前に、まずそこ。
一度嫌いにさせた子は、戻せます。ただし——
結論を書きます。
| 戻せるか | 戻せます |
| 難易度 | 相当、難しいです |
| 条件 | 本気でやれるかどうか。 子どもの未来を本気で考え、自分自身がどうなりたいかまで持てるか |
| 選択肢 | できれば、プロの力を借りたほうがいいです |
最後の行について、もう少し具体的に書きます。
そこまで来てしまったら、プロの力を借りないとどうしようもないことが、正直、多いです。
そして、誰に、どのプロが要るのかは、はっきり分かれます。
| 誰に | 何が要るか |
|---|---|
| 親 | コーチング。立て直しの主役は親なので、ここが一番要ります |
| 子ども | 塾。勉強そのものは、任せていい部分です |
| 子どもがある程度大きい場合 | 子どもにも、コーチングが効きます |
親にコーチング、子どもに塾。
これが基本の形だと思っています。
よくあるのは、親のほうをそのままにして、子どもだけ塾に入れるというやり方です。気持ちは分かります。でも、それだと家の中の関係は何も変わりません。
そして——前回書いたとおり、関係が変わらないと、塾も効きません。 嫌々来る子は、塾でも伸びないからです。
私自身、学習塾をやりながら、大人向けのコーチングもやっています。だからこう書いていますが、ここで売り込むつもりはありません。 うちでなくて、全然かまいません。
ただ、「親が全部やるべき」とは、まったく思っていません。 そこだけは、はっきり書いておきます。
だから、小さいうちから
最後に、このブログを書いている理由を書かせてください。
ここまで読んで分かったと思いますが、一度こじれたものを戻すのは、めちゃくちゃ大変です。
- 理解するところから始めて
- 本当に勉強が必要かを本気で考え直して
- 原因を親が引き受けて
- 親自身の姿を見せて
- それでもうまくいくとは限らない
逆に言えば、こうです。
小さいうちから「こうやればいいんだ」と分かってやっていたら、
びっくりするくらい、楽なんです。
「何になりたい?」と聞いて、「メタモン」と言われて、「なれるよ」と返す。
それだけで済むんです。 3歳でも、5歳でも、小1でも。
まだ何も始めていないという方は、むしろ一番いい位置にいます。
そして、もう言ってしまったという方——戻せます。 ただ、上に書いたことを、本気でやる覚悟が要ります。
どちらの方にも、ここでは同じことを書き続けます。
決めるのは、子どもです。
パパ塾長の、ほかの場所
学習塾をやっていて、コーチングもやっている、3児の父です。同じ話を、こちらでも出しています。
