この記事の結論

「勉強しなさい」と言わなくても、子どもは毎日やります。 ただし、順番があります。

① 何のためにやるかを、子どもに決めさせる(→前回)

② 「今日は何時にやる?」と聞く。渋っても、遅い時間でも、そのまま通す

③ できなかった日は「じゃあ、何時ならできるの?」と、もう一度決めさせる

親は一度も「やりなさい」と言いません。問いを出すだけです。

強制しない理由は、優しさではありません。強制すると効果がゼロになるからです。

嫌々やる子は、塾に来ても伸びません。頭に入らないからです。

そして「強制しないとやらない」状態は、子どもではなく、親の環境づくりが失敗しているサインです。

前回、「何時にやる?」と聞く前に、共通言語を作る話を書きました。

「うちは毎日勉強する家です」

「なぜなら、〇〇になるためです」

これが親子で共有されている状態です。

今日はその続き、日々の運用の話です。

先に結論を書きます。

本人に決めさせる。強制は、絶対にダメ。

これだけです。ただ、「絶対にダメ」の理由が、たぶん思っているのと違います。

わが家で「決めさせる」場面は、3回あります

子どもが決める3つの場面(何のため/何時に/できなかった日)

学習塾をやっていて、コーチングもやっている、3児の父です。パパ塾長といいます。

わが家の1日を、そのまま書きます。

① 何のためにやるか ― 決めるのは子ども

親「将来、何になりたい?」

子「警察官」

親「じゃあ毎日勉強がんばったら、それになれるよ」

(前回の記事の話です)

② 何時にやるか ― 決めるのは子ども

親「さあ、今日は何時にやる?」

子「……11時」

渋ります。 素直には決めません。しかも、だいたい遅い時間を言ってきます。

それでも通します。 11時と言ったなら11時です。

③ できなかった日、どうするか ― 決めるのは子ども

夕方、遊びから帰ってきた子どもを親がおだやかに迎えている

そして、だいたいできません。

11時と言っておいて、友達が来て、遊びに行ってしまう。帰ってくるのは夕方です。

そのとき、こう聞きます。

親「今日、11時にできなかったから、今からがんばってやる?」

子「今からは無理」

親「じゃあ、何時からならできるの?」

以上です。

怒っていません。 「約束したでしょ」も言っていません。

やることは一つ、もう一度、本人に決めさせる。それだけです。

気づきましたか。親は一度も「やりなさい」と言っていません

①も②も③も、決めているのは全部、子どもです。

親がやっているのは、問いを出すことだけ。

  • 「何になりたい?」
  • 「何時にやる?」
  • 「じゃあ何時ならできるの?」

これがわが家のやり方です。

なぜ強制しないのか ― 「かわいそうだから」ではありません

強制すると効果がゼロになる、という流れの図

ここが一番書きたいところです。

強制しない理由は、優しさではありません。

強制すると、効果がゼロになるからです。

塾をやっているので、はっきり言えます。

親に言われて、嫌々来る子がいます。

塾に来れば、とりあえず机には座ります。ノートも開きます。形は整います。

でも——

嫌々やる子は、そもそも伸びません。頭に入らないんです。

嫌々なんだから、勉強どころじゃない。だから、やっても意味がない。

これは塾の質の問題ではありません。どこの塾に行っても同じです。

だからこそ、恐ろしいのはここです。

家で「嫌々」を作ってしまうと、塾に行かせても取り返せない。

塾は必要です。私は塾をやっている人間なので、そこははっきり言います。ただ、塾に入れる前に壊してはいけないものがある、ということです。

家は、塾よりずっと危ないです

正直に書くと、私も、親のほうから声をかけることはあります。

ただ、「勉強しなさい」という命令形は、使ったことがありません。 使っても「さあ、勉強やろうか」くらいです。

こう書くと「じゃあ問題ないのでは」と思われそうですが、そこが微妙なところなんです。

言い方を並べると、こうなります。

親の言い方 決めているのは
✗ 「勉強しなさい」 親(命令)
「さあ、勉強やろうか」 親(誘導)
「今日は何時にやる?」 子ども

真ん中の「やろうか」は、やさしく聞こえます。怒ってもいないし、命令でもない。

でも、決めているのは親です。

これでも回る日はあります。ただ、毎日これを続けていると、子どもの中に 「自分で決めた」という感覚が育ちません。 そして、親が言わなくなった瞬間に止まります。

だからわが家では、できるだけ 一番下の段まで下ろす ようにしています。

そして家には、塾にはない事情があります。

家は、親子関係です。だから、塾よりずっと反発しやすい。

先生が言うのと、親が言うのは、まったく違います。親が言うと、勉強の話ではなく、関係の話になってしまう。

強制してやらせると、こうなります。

  • 親が大変(毎日、言い続けないといけない)
  • 子どもが嫌
  • そして毎日、やりたくなくなっていく

ここまで来たら、習慣化はもう無理です。

一度そうなると、子どもが勉強できるような環境には、もう戻りません。 これが一番こわいところです。

じゃあ、強制しないと絶対にやらない場合は?

「やらないから強制する」ではなく「環境が整っていないからやらない」という図

よく聞かれます。「うちの子は言わないと絶対にやらないんです」と。

私の答えは、はっきりしています。

「強制しないといけない」なら、いったん諦めてください。

冷たく聞こえるかもしれません。でも、勉強を諦めろ、という意味ではありません。

今のやり方を諦めて、環境から作り直してください、という意味です。

なぜなら——

強制しないといけない状態は、子どもの問題ではなく、親の環境づくりが失敗しているサインだからです。

順番が逆なんです。

「やらないから強制する」のではなく、「環境が整っていないから、やらない」。

見直す環境は、だいたいこの4つです

テレビが消え、机の上が片づいた静かな部屋
こうなっていませんか どうするか
テレビがつけっぱなし 消す
机の上が物でいっぱい 片づける
親がスマホやYouTubeを見ている 親がやめる
きょうだいが騒がしい 時間・場所をずらす

3つ目は、当たり前のことですが、書いておきます。

親がYouTubeを見ながら「勉強しなさい」と言って、机に向かう子はいません。 当たり前です。

そして4つ目。ここは、わが家の実際を書きます。

わが家の場合 ― 子どもが勉強している時間、親は何をしているか

同じ机で子どもは問題を解き、親は隣で本を読んでいる

同じ机にいます。

私は隣で本を読んでいます。教えているときは、解いているのを見ています。

ただし、ずっと横に張り付いてはいません。

「これは絶対できるな」という簡単な計算問題のときは、

食器洗いや掃除をしながら、見ています。

離れますが、見てはいる。 ここは難易度で使い分けています。

妻は家のことをしています。

そして、ここが一番おもしろいところです。

きょうだいは「邪魔」ではなく、「環境」でした

上の子が勉強していると、小さい子が自分から隣に座って真似をしている

わが家には年中の子がいます。騒がしいはずです。

ところが——

上の子が机に向かっていると、年中の子も、一緒にやり始めます。

誰も言っていません。勝手に真似します。

これは、すごくいい環境だと思っています。

親が一人でがんばって「勉強する空気」を作るより、上の子がやっている、という事実のほうが、はるかに強いからです。

もちろん、年中の子は集中力がないので、途中で遊び始めます。そのときは、こう言います。

「遊ぶんだったら、ちょっと違うところで遊んでね。

お姉ちゃん、頑張ってやってるからね」

怒っていません。 場所を移すだけです。そして、必ず理由を言います。

しかもこの一言、下の子を注意しながら、上の子を褒めていることになります。これは意図せずそうなりました。

そして最後に、正直に書いておきます。

下の子は新生児です。こっちはもう、どうしようもできません。

環境づくりの話をしておいて何ですが、どうしようもない部分は、どうしようもないです。赤ちゃんがいる家で「静かな環境を作りましょう」と言われても無理な話で、うちも無理です。

できるところだけやっています。

ひとつだけ注意 ― 「毎日バラバラでいい」ではありません

親子が時計のそばで、毎日の勉強時間を相談している

ここまで「何時にやる?と聞いています」と書いてきましたが、誤解されそうなので書いておきます。

理想は「毎日、決まった時間」です。

たとえば、学校から3時半に帰ってくるなら、4時から1時間。そうやって固定したほうがいい。習慣は、時間が決まっているほうが定着するからです。

じゃあ誰が決めるのか。これも子どもです。

親「毎日の習慣にしたほうができるから、”何時から何時は勉強の時間”って決めたほうがいいと思うけど、どう思う?」

親「じゃあ、何時がいい?」

わが家がいま毎日聞いているのは、夏休みだからです。 それと、私の仕事の都合で、規則正しく回せない時期だからです。

変則的な時期は、毎日聞く。落ち着いたら、決まった時間に戻す。 そういう運用です。

もうひとつ ― 「何時でもいい」わけではありません

「何時に寝なさい」ではなく「だから早く寝ようね」と伝える、という図

ここまで「子どもに決めさせます」と書いてきましたが、動かさない線が1本だけあります。

寝る時間です。

必要な睡眠は年齢で変わります(小学生は約10時間)。わが家の小1は 20時30分に寝て、6時30分に起きる。

「今日は何時にやる?」の選択肢は、この時間から逆算した中にあります。

そして——ここでも「早く寝なさい」とは言いません。 譲りませんが、強制もしません。

「勉強がんばって頭が良くなるのはね、実は”寝てる間”なんだよ」

「だからね、寝る前に勉強すると、実はすごくおぼえてるんだよ」

「だから、早く寝ようね」

「何時に寝なさい」ではなく「だから早く寝ようね」。 理由を話して、納得してもらう。やることは今までと同じです。

※ 睡眠は1本の記事になるくらい深いので、年齢別の必要時間・成長ホルモン・寝る前の勉強については別の記事で書きます。

まとめると、こうです

誰が決めるか
◎ 「今日は何時にやる?」 子ども
◎ 「寝てる間に頭が良くなるから、早く寝ようね」 理由を聞いて、子どもが納得して決める
✗ 「何時に寝なさい」 ✗ 親が命令している
✗ 「じゃあ、寝る時間を遅らせて勉強しよう」 ✗ これは選択肢に入れない

時間は子どもに任せる。睡眠の”理由”は親が伝える。

そして——譲れないところでも、強制はしません。 納得してもらいます。

※ 睡眠の話は、それだけで1本になるくらい深いところです。別の記事で改めて書きます。

まとめ

よくあるやり方 わが家のやり方
「勉強しなさい」と言う 「何時にやる?」と聞く
できなかったら怒る 「じゃあ何時ならできるの?」と、もう一度決めさせる
やらないから強制する 強制が必要なら、環境が失敗している
静かにさせる/隔離する 上の子がやっていれば、下の子は勝手に始める
親は見張る 同じ机で、親は本を読む

強制しないのは、子どもに甘いからではありません。

強制した瞬間に、効果がゼロになるからです。

そして、一度そうなると戻すのが本当に大変です。その話は次回書きます。

次回は、もう「勉強しなさい」と言ってしまった人へ。すでにこじれた家庭が、どこから立て直すか、という話です。

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学習塾をやっていて、コーチングもやっている、3児の父です。中学受験、小学生の勉強法、子どもの頭を良くする方法を、塾長でありパパの視点で書いています。「勉強しなさい」とは言いません。決めるのは、子どもです。