小1の算数の教え方。速く解かせないほうが、あとで速くなります
算数は「脳トレ」です。反復すれば、あとから勝手に速くなります。
だから今は、速さより「分かっているか」が先です。
① 速く解かせない … 急かすと、考えるための頭のスペースが「急がなきゃ」で埋まります
② 指は使わせていい … 数を感じる脳と、位置を感じる脳はとなり同士。手を使うほど伸びます
③ 「あれ?」と思ったときだけ、確かめる … ちょっと違う問題を、口でパンと出してみる
心配はいりません。反復した分だけ、必ず速くなります。
家で算数を見ていると、これでいいのか分からなくなります
学習塾をやっていて、コーチングもやっている、3児の父です。パパ塾長といいます。
小1の子に、家で算数をやらせている。ドリルは進んでいる。でも、本当に身についているのかが分からない。
そして、こういうところが気になり始めます。
- まだ指を使って数えている
- 一問にやたら時間がかかる
- 昨日できたはずのところを、今日は間違えている
「そろそろ指は卒業させたほうがいいんじゃないか」「もっと速く解けるようにしないと」——そう思ったこと、ありませんか。
先に結論を書くと、どちらも急がなくて大丈夫です。 むしろ急がせないほうが、あとで速くなります。
塾で、中3の子が小学校の分数に戻ることがあります
なぜそう言えるのか。その反対側を、ずっと見てきたからです。
私の塾に来るのは、小5・小6と、中1から中3が中心です。小4も見ますが、うんと少ない。つまり私が普段向き合っているのは、小1の何年も先にいる子たちです。
その子たちに何が起きているか。
中3の子が、中1の正の数・負の数の引き算でつまずいている。 掛け算のやり方が、ちゃんと分かっていない。そして、小学校の分数の計算ができていない。
だから、そこまで戻ります。中3の子が、小学校の分数に戻る。
これは、どこかで「分かったつもり」のまま先へ進んだ結果です。 進むこと自体は悪くありません。進んだのに、下が固まっていなかったというだけです。
算数は、積み重ねです。
下の階が固まっていれば、上はどんどん乗ります。 逆に、そこが固まる前に上を積むと、あとから戻ることになります。
そして、いま小1のお子さんは、その一番下の階を作っている最中です。
★ここで大事なのは、子どもができるかどうかより、親がこれを知っているかどうかです。
知っていれば、先に手が打てます。 これから小1になるお子さんの親にとっても、先に知っておくだけで、そうとう有利に働きます。
算数は「脳トレ」です
ここからが本題です。
小1がいまやっているのは、足し算と引き算です。ようやくここから勉強が始まる段階です。
この時期の算数を、私は「脳トレ」だと思っています。
頭でパッと理解するものというより、時間をかけて、しっかり体に入れていくもの。
だから、この時期に「ちゃんと分かりなさい」と迫るのは、良くありません。 まだ始めたばかりだからです。
そして大事なのはここです。
脳トレと反復練習で、素早くできるようになっていきます。
小学校の計算は、それでちゃんとできるようになります。
速さは、あとから勝手についてきます。 反復すれば、必ずそうなります。
だから、いま速さを求める必要がありません。 これが「急がなくていい」と言える理由です。
だから、速く解かせません
「早く解きなさい」と急かすと、何が起きるか。
頭の中の“考えるためのスペース”が、「急がなきゃ」という焦りで埋まります。 その結果、肝心の計算のほうに頭を使えなくなる。急かすほど、できなくなるわけです。
だから、こう言います。
「ゆっくりでいいよ。どうやって考えたか教えて」
「早く」ではなく「どうやって」を聞く。 これだけで、子どもは考える時間をもらえます。
逆に、理由を問い詰める言い方は、しません。 問い詰めても、分かるようにはならないからです。
手が止まっていたら、そこがまだ固まっていないところだと分かっただけです。それで十分です。
「まだのところ」は、こう言います
これは、聞かれて初めて気づいたことです。
塾で戻らせるとき、私は子どもにこう言っています。
「ここの分数の計算ができてないから、ここからちょっとできるようにしようか」
学年の話は、していません。 というより、「何年生の内容か」を子どもに言った記憶がありません。 意識してやっていたわけではなくて、改めて聞かれて気づきました。言っているのは「ここ」だけでした。
家でも同じだと思います。 「昨日できたのに、なんで今日は間違えるの」ではなく、「ここ、もうちょっとやっとこうか」。それで足ります。
指は、使わせていいです
親がいちばん気にするのが、ここだと思います。「いつまで指を使わせておいていいのか」。
答えは、使わせていいです。
「指を使っちゃダメ」は、逆効果です。
理由があります。数を感じる脳の場所と、広さや位置を感じる脳の場所は、となり同士です。だから手や指を使うほど、算数は伸びます。 指は、算数の敵ではありません。
わが家では、こう考えています。
家では指を使っていい。でも、塾では指を使わない練習をしてみようか。
うちの場合は、学校でも指を使っていいことにしています。そのうえで、塾では指を使わずに考えるようにしてみようか、と声をかけています。
「やめさせる」のではなく、「使う場所」と「使わない練習をする場所」を分ける。
こうすると、子どもは取り上げられた感じがしません。卒業は、いつのまにか勝手に来ます。
「分かってる?」の確かめ方
では、進めながら何を見ればいいのか。
ドリルが進んでいるかではなく、「分かっているかな」を見ることです。
⚠️ ただし、全部の問題でやる必要はありません。 一問ずつ止めていたら、宿題が終わりません。
「あれ? いまの、分かってるかな」と思ったときだけでいいです。
1日に1問でも構いません。見ているのは、これだけです。
そして、確かめ方はすごく簡単です。
ちょっと違う問題を、口でパンと出してみる。
たとえば「7 − 3」ができたら、その場で「じゃあ、8から3引いたら?」と口で聞いてみる。プリントもえんぴつも要りません。5秒で終わります。
ここで答えられれば、分かっています。手が止まったら、そこがまだ固まっていないところです。責める必要はありません。「じゃあ、もうちょっとここやっとこうか」で十分です。
これは、悪いところを見つけに行く作業ではありません。
見つけに行くと、子どもは追及されていると感じます。そうではなくて、ちゃんと進んでいるときに、一個一個「分かってるかな」と見る。それだけです。
声のかけ方を、変えるだけでいい
ここまでを、家でやることにまとめると3つです。
① 速く解かせない。「ゆっくりでいいよ。どうやって考えたか教えて」
② 指は使わせる。 使う場所と、使わない練習をする場所を分ける
③ 気になったときだけ確かめる。 ちょっと違う問題を、口でパンと出してみる
どれも、道具が要りません。 特別な教材も、時間の確保も要りません。いまやっているドリルの横で、声のかけ方を変えるだけです。
逆に、やらなくていいことも書いておきます。先回りして「どこでつまずきやすいか」を調べることです。小1のうちは、まだそこにいません。目の前の一問を、分かってやれているか。それだけで足ります。
速さは、後からついてきます
最後に、いちばん言いたいことを書きます。
いま、遅くていいです。指を使っていていいです。
反復していけば、計算は必ず速くなります。 それは脳トレだからです。だから速さは、目標ではなく結果です。先に結果を取りにいくと、かえって遠回りになります。
逆に、速さだけ先に手に入れて、中身が空っぽのまま進むと、 何年か後に、下の階まで戻ることになります。私が塾で見てきたのは、そちらのほうです。
急がないことは、サボることではありません。 いちばん下の階を、ちゃんと固めているということです。
心配はいりません。 いま指を使っていても、遅くても、反復した分だけ、必ず速くなります。
まとめ
算数は積み重ねです。 いま作っているのは、いちばん下の階です。
パパ塾長の、ほかの場所
学習塾をやっていて、コーチングもやっている、3児の父です。同じ話を、こちらでも出しています。
