文章問題ができないのは、理由が一つではありません 文章問題ができない → まず、4つのどれかを見分ける
この記事の結論

文章問題ができないのは、理由が一つではありません。

下の4つが混ざっている可能性があります。

① 読みたくない … 問題を見た瞬間に嫌がる

② 読めない … 音読させると、つっかえる

③ 読めるけど、場面が浮かばない … 音読はできるのに、手が止まる

④ 場面は浮かぶけど、式にできない … 絵は描けるのに、式が書けない

算数の話なのは、③と④だけです。①と②は算数ではありません。

だから、まずどれなのかを見分けてください。

心配はいりません。原因さえ分かれば、やることは決まります。


計算はできるのに、文章問題になると手が止まる

学習塾をやっていて、コーチングもやっている、3児の父です。パパ塾長といいます。

計算ドリルは、けっこう進んでいる。たし算も、ひき算も、ちゃんとできる。なのに、文章問題になったとたんに手が止まる。

「うちの子、読解力がないのかな」「このままで大丈夫かな」——そう思ったことはありませんか。

先に書いておくと、心配はいりません。 ただし、やみくもに教えても、たいてい空振りします。

親から見ると、「文章問題ができない」はひとつの困りごとに見えます。でも、理由は一つではありません。 まったく違う4つが混ざっていることが多いです。

そして、4つとも、やることが違います。 だから、まとめて「読解力をつけよう」としても、たいてい空振りします。

文章問題のプリントの前で、手が止まっている小学生

文章題は、学年が上がっても勝手にはできるようになりません

先に、少し先の話をさせてください。なぜ小1のうちに、と言うのかの理由です。

慶応義塾大学の今井むつみ教授が、小学3・4・5年生に算数の文章題を解かせた調査があります。使ったのは、教科書とほぼ同じ、ごく基本的な問題です。

たとえば、こういう問題です。

1まいの画用紙から、カードが8まい作れます。45まいのカードを作るには、画用紙は何まいいりますか。

正答率は、小3で41.13%、小4で48.85%、小5でも53.90%でした。

計算そのものは、みんなできています。45÷8も、ちゃんと解けている。できないのは、「あまりをどうするか」を、文章の意味から考えるところです。

そして調査では、典型的な間違い方がはっきり出ています。

問題文の数字を、思いつく計算に放り込んでしまう。

これは、学年が上がっても自然には直っていません。 小5でようやく半分です。

つまり、文章題は、放っておいて勝手にできるようになるものではありません。

ここで大事なのは、子どもができるかどうかより、親がこれを知っているかどうかです。

知っていれば、先に手が打てます。 いま「読めていないな」と気づけた人は、それだけで早い。そして、これから小1になるお子さんの親にとっても、先に知っておくだけで、そうとう有利に働きます。

まだ何も起きていないうちに読んでいるなら、それがいちばんいい状態です。


文章問題ができない理由は、一つではありません

では、本題です。

①読みたくない ②読めない ③場面が浮かばない ④式にできない
# どの「できない」か 見分け方 やること
① 読みたくない 問題を見た瞬間に嫌がる 強制しない。やる時間を決めさせる
② 読めない 音読させると、つっかえる 国語の土台(読み聞かせ・家の言葉)
③ 読めるけど、場面が浮かばない 音読はできるのに、手が止まる 頭の中でやらせない。物か体で、やってみる
④ 場面は浮かぶけど、式にできない 絵は描けるのに、式が書けない 言葉を教える(あわせて=たす、など)

見分け方は、ひとつだけ覚えれば足ります。

まず、声に出して読ませてみてください。

つっかえたら②。すらすら読めたのに手が止まったら③か④。そもそも読もうとしないなら①です。5秒で分かります。


① 読みたくない ── これは算数の話ではありません

問題用紙を見た瞬間に「やだ」と言う。これは読解力の問題ではありません。

ここで急かしても、動きません。むしろ固くなります。わが家では、こういうときはやる時間を子どもに決めさせています。

「今日は何時からならできる?」

このやり方は「「勉強しなさい」と言わなければ、本当にしない?」に詳しく書きました。決めるのは子どもです。

①のうちは、文章問題の中身に入っても意味がありません。 先にここを外してください。


② 読めない ── まだ、国語が追いついていないだけです

音読させると、つっかえる。この場合は、算数をどれだけやっても解決しません。

小1は、そもそも国語がこれからです。だから、ここは算数ではなく国語の側から入ります。

やることは3つです。

① 絵本の読み聞かせ

ただし、読むだけでは足りません。 途中で声をかけます。

「なんでこんなことするんだろうね」

「自分だったら、どうするかな」

物語には、自分と違う人がたくさん出てきます。「自分だったらどうするか」を積み重ねると、頭の中で場面を思い浮かべる練習になります。これが、そのまま文章問題に効きます。 文章問題も結局、「だれが/なにが、どうなったか」を思い浮かべる作業だからです。

お母さんと子どもが、絵本を一緒に読んでいる

正直に書くと、わが家の読み聞かせは、7〜8割が妻です。 私もやりますが、二人で分担しています。どちらかが全部やる必要はありません。

② 家の言葉

子どもの語彙は、問題集ではなく家の会話から入ります。 親が使っていない言葉は、子どもの中にありません。

③ 実際に、その場を経験させる

文章問題に出てくるのは、買い物・分ける・あつまるといった、日常の場面です。だから、家でその場面を先に経験させておくと、問題文が「知っている話」になります。

わが家では、買い物のときに子どもにお金を払わせています。 そして聞きます。

「おつり、いくらだった?」

これは、そのまま文章問題です。


③ 場面が浮かばない ── 頭の中だけで、考えさせないことです

ここが、いちばん多いところです。

音読はできる。意味も、たぶん分かっている。なのに、手が止まる。

このとき子どもの頭の中で起きているのは、場面が絵になっていないということです。文字は読めたけれど、「そういう場面」として立ち上がっていない。

頭の中だけで考える/物を置いて、やってみる

だから、こうします。

親は、頭じゃなくて、現実で、実際にやってみる。

頭の中だけで考えさせないことです。 目の前で、やってみせる。やらせてみる。

物を使う

家にあるもので十分です。おはじきでも、ブロックでも、みかんでもいい。

手近なものを3個、机に置く。

「ここに2人きましたよね」

「友達とこうやって遊んでたら、2人いなくなっちゃったよね」

置いて、動かす。 それだけです。式より先に、場面を作ってしまいます。

体を使う

物で足りなければ、一緒に動きます。 立って歩いてみる。並んでみる。「じゃあ今、何人になった?」

お父さんが、机に物を置いて、子どもと一緒に動かしている

絵を描かせる

そして、絵にします。わが家では、こう聞いています。

「誰々がいてね」──と、まず人を描かせる。

その人が、なにをしているところなのかを描かせる。

上手である必要はまったくありません。棒人間で十分です。 大事なのは、頭の外に出すことです。

⛔ ただし、決まった聞き方の型はありません。

問題によって、聞くことは変わります。「誰が出てくる?」が合う問題もあれば、りんごとみかんしか出てこない問題もあります。大人が問題を見て、その場で決めていいんです。

たぶん、そこが分からないんだと思います。 だから、こう考えてください。

その問題を、机の上に再現できるか。

再現できたら、それが正解の聞き方です。


④ 式にできない ── 足りないのは、言葉です

絵は描けた。場面も分かっている。なのに、式が書けない。

この場合、足りないのは言葉です。「この言葉が来たら、たし算」という対応が、まだ入っていません。

小1の文章問題に出てくるのは、だいたいこの4つです。

① あわせて … 2つを合わせる → たす

② ふえると … 増える → たす

③ のこりは … 減る → ひく

④ ちがいは … 差 → ひく

あわせて/ふえると/のこりは/ちがいは

いちばんつまずくのが、④「ちがいは いくつ」です。

「あわせて」や「のこりは」は、場面が動くので分かりやすい。でも「ちがい」は、動きません。 2つを並べて比べるだけです。小1には、これがいちばんピンときません。

だから④のときは、なおさら並べて置いてください。 5個と3個を実際に並べて、一対一で対応させて、余ったぶんを見せる。 「これがちがい」と、目で見せるのがいちばん早いです。


教科書も、1年の後半に「ずをつかってかんがえよう」をやります

念のため、教科書の並びも見ておきました。

小1の算数は、こう進みます。

前半:10までのかず → いくつといくつ → あわせていくつ ふえるといくつ → のこりはいくつ ちがいはいくつ

後半:10よりおおきいかず → 3つのかずのけいさん → たしざん(くりあがり)→ ひきざん(くりさがり)→ 大きなかず → ずを つかって かんがえよう

★「ずを つかって かんがえよう」という単元が、ちゃんとあります。 しかも1年の後半です。

つまり、「図を使って考える」のは、家庭の裏ワザではなく、教科書がやれと言っていることです。

そして、この単元で扱うのは3種類です。

① ふえた分を求める ② 全体を求める ③ はじめの数を求める

いちばん難しいのが③です。 たとえば「あめを3こ食べたので、のこりが6こになりました。はじめは何こありましたか」という形。これは実質、逆算です。

逆算は、頭の中だけでは戻れません。 だからこそ、物を置いて、実際に戻してみるのがいちばん効きます。


まず、どれなのかを見てあげてください

お母さんと子どもが、机で一緒に問題を声に出して読んでいる

「文章問題ができない」と言われたとき、いきなり教え始めなくて大丈夫です。

まず、声に出して読ませる。 それだけで、①〜④のどれかが分かります。

  • 読もうとしないなら → 中身に入らない。時間を決めさせる
  • つっかえるなら → 算数ではなく、国語の土台から
  • すらすら読めるのに止まるなら → 頭の中でやらせない。物を置く
  • 絵は描けるのに式が書けないなら → 言葉を教える

やることが全部ちがうので、見分けないと空振りします。 逆に言えば、見分けさえすれば、やることは1つに決まります。

だから、心配はいりません。 「できない」のままだと不安ですが、「①だ」と分かった時点で、それはもう困りごとではなくなります。

そして、どれであっても、言う言葉は同じです。

「じゃあ、いっしょにやってみようか」

どれであっても、言う言葉は同じ ─ じゃあ、いっしょにやってみようか

まとめ

  • 文章問題ができない理由は、一つではありません。 4つが混ざっています
  • 見分け方は「声に出して読ませる」だけ。 5秒で分かります
  • ① 読みたくない … 中身に入らない。やる時間を決めさせる
  • ② 読めない … 算数ではなく国語。読み聞かせ+途中の声かけ、家の言葉、買い物の経験
  • ③ 場面が浮かばない … 頭じゃなくて、現実でやってみる。 物を置く、体を動かす、絵にする
  • ④ 式にできない … 言葉。あわせて/ふえると/のこりは/ちがいは
  • 「ちがいはいくつ」が最大の難所。 並べて、余りを目で見せる
  • 決まった聞き方の型はありません。 机の上に再現できるかで決めていい
  • 文章題は、学年が上がっても勝手にはできるようになりません
  • 算数の話なのは、③と④だけです。

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    パパ塾長
    学習塾をやっていて、コーチングもやっている、3児の父です。中学受験、小学生の勉強法、子どもの頭を良くする方法を、塾長でありパパの視点で書いています。「勉強しなさい」とは言いません。決めるのは、子どもです。